好きなものが増えてきて

子供から大人と言える年になってから早十年、今日この頃。

好きなものがたくさん増えてきた。

卵焼きと鰻しか食べられなかったお寿司屋さん。今はサーモンから始まり、ハマチにエビ、たこにいか、かと思いきやシマアジ、最後のしめは始まりを同じサーモン。生魚なんて食べらなかったのに、今は海の幸が好きでたまらない。休日になれば好きな寿司屋さんに足を運んでいる自分がいる。

騒音にしか思わなかった音楽。街に流れる流行のソングに、90年代の耳の片隅に残るちょっと懐かしい曲。言葉の意味はさっぱり分からないけど心躍たり泣き虫になる洋楽とジャズ。今は車の運転中、散歩中には耳から離すことができない。ラジオをもそうだ。知らない人の話なんて興味なかったのに、今は耳をついつい傾けたくなる。もっと知りたくなる。

4年前の冬、中学生の頃を最後に触れることのなかったガンプラに触れて、今は自室の中に百体近く、心血注いで作った彼らが並べられている。姉上曰く、儀式の部屋、というあだ名がついている。いつの間にか司教になっていたようだ。

ガンプラ教、いいね。あるなら入りたいよ。

漢字が嫌いで、本なんて読まなかったのに、今は本屋さんで次は何読もう?とスマフォ画面に並ぶおすすめ本と、棚に並ぶ新しい物語と小一時間は睨めっこしている。頭を抱えるピストグラムみたいに。

推しの人……毎朝出社前の憂鬱も、推しの人の写真を見れば夜霧を払った朝のように明るくなる。天使とか女神、なんて存在しないと思っていたけど、存在したんだ。ラピュタを見つけたパズーの気持ちが今ならよくわかる。シーター!!と同じぐらいに推しの人の名前を呼んでみたい。ただのアホにしか見えないからやらないけど。

好きのものがたくさん増えていく。

このまま行くと、胸で抱えきれなくて膝から崩れ落ちるかも。

それも、いいかな。